• 太陽光発電

【事例も紹介】工場の太陽光発電導入メリット・デメリット完全ガイド

企業が電気料金の削減に取り組むのには経済的なメリットがあるのはもちろん、イメージアップや設備導入による節税などのメリットもあります。

工場を所有している企業の場合、工場の屋根に太陽光発電設備を設置することを検討するのではないでしょうか。

そこで本記事では、工場に自家消費型の太陽光発電設備を導入するメリットとデメリットについて詳細に解説します。

【事例も紹介】工場で自家消費型太陽光発電を導入するメリット

太陽光発電設備を自社の工場に設置して発電した電力を使用するにはいくつか方法があります。

その中でも、自社で発電設備を所有し、運用・保守・管理を行う場合、自家消費型太陽光発電と呼ばれます。

この場合の代表的なメリットについて解説します。

電気代の削減効果

自家消費型太陽光発電の大きなメリットは、電気料金が安くなる点です。

どの程度削減されるかは設置する太陽光発電の規模やそれまでの電気使用量などによって異なります。

例えば「リープトンエナジー」が3MWの太陽光発電設備を工場の屋根に設けた事例では年間自家消費量は340万kWhです。

1kWhの単価を30円とした場合、年間の電気料金は約1,020万円削減されることになります。

環境負荷の低減とCSR向上

現在、主流である化石燃料はCO2の排出による環境負荷が大きく、事業者にはクリーンなエネルギーを活用して環境負荷を低減することが求められています。

そうした背景の中、自家消費型太陽光発電の導入は、化石燃料に代わって再生可能エネルギーを使用することで、事業活動の環境負荷低減に大きく貢献します。

また太陽光発電の導入で社会全体への貢献度を高め、CSR活動(企業の社会的責任)に取り組む企業として、イメージアップにも寄与します。

なお、愛媛県西条市で半導体の映像を担う株式会社アドバンテックでは、愛媛本社と長野工場に太陽光発電設備を導入しています。

取引先からの要望に対する先行対応として行い、企業のイメージ戦略によって競争における優位性を確保しています。

参考:環境省「自家消費型太陽光発電の導入先行事例」P7

節税効果

太陽光発電設備の設置は節税にもつながります。

企業が設備投資を行う場合、耐用年数に応じて減価償却できるからです。

自家消費型太陽光発電の場合、太陽光発電設備は自社で購入し、その費用は自社が負担します。

つまり、初期費用を減価償却することで、法定耐用年数の間は課税所得が減り、その分節税になるのです。

また中小企業の場合は「中小企業経営強化税制」を利用することで、資本金3,000万円以下の場合は10%、3,000万円以上の場合は7%が法人税額から控除される仕組みになっています。

太陽光発電設備に関わる導入費用の即時償却も可能で、その場合は初期費用の全額を一括で損金計上できます。

参考:国税庁「No.5434中小企業経営強化税制」

BCP対策

 自家消費型太陽光発電の太陽光発電設備は、企業におけるリスクマネジメントの一環としても有効です。

地震や台風などの自然災害が発生し、系統電源が消失した場合でも、太陽光発電設備によって電力を確保できます。

なお、香川県三豊市で水産業を営む株式会社瀬戸水産では、関東営業所第一工場の屋根に太陽光発電設備を設置しています。

工場の使用電力の3割をまかなっているほか、首都圏直下型地震や南海トラフ地震などの災害リスクに対応できる点も特徴の一つとしています。

参考:環境省「自家消費型太陽光発電の導入先行事例」P6

遮熱効果による空調効率の向上

 工場などの屋根に太陽電池モジュールを設置することで、工場内の室温が下がるというメリットもあります。

太陽電池モジュールの厚さは3〜5センチ程度ですが、直射日光を遮断し、屋根の遮熱効果が向上するからです。また冬は屋根からの放射冷却が抑制されるため、工場内の温度低下が抑えられます。

つまり、太陽電池モジュールを設置することで、夏の暑さが抑えられ、冬は寒さが軽減するのです。そのため、エアコンなどの空調効率が向上することにも期待できます。 

工場における太陽光発電の導入におけるデメリットと解決策

 メリットがある一方、工場に太陽光発電設備を導入する際にはデメリットもあります。そこで主なデメリットや対策方法について解説します。

 初期費用がかかる

工場に太陽光発電設備を導入するには太陽電池モジュールのほか、架台、パワーコンディショナー、モニター、蓄電池などの設備が必要で、導入費用が高額になりがちです。小規模な工場でも数百万円、大規模な工場になると数千万円〜数億円となります。

太陽光発電設備が稼働すると電力会社に支払う電気料金は削除されますが、導入費用を回収するには数年から10年程度かかるため、回収についての不安を抱えるケースも少なくありません。

ただし、工場に太陽光発電設備を導入する場合、国や地方公共団体が行っている補助金を活用できる可能性があります。補助金が交付されると初期費用が抑えられます。

また、太陽光発電設備導入に関する初期費用や運用費用を負担するPPAモデルを用意している発電事業者もあります。このPPAを利用すると、初期費用や運用・保守費用を負担することなく、太陽光による電力を使用できます。 

天候による発電量の変動

太陽光発電設備は天候や季節によって発電量が変動します。特に日照時間が短い地域や降水量が多い地域、さらに冬や梅雨の時期などは十分な発電ができないことも考えられます。

このようなケースでは、蓄電池の導入で対策が可能です。晴天時に余剰電力を貯めておくことで、天候による発電量の変動を調整できます。

メンテナンスの費用と手間

太陽光発電設備は精密機器の一つのため、故障や発電量の低下を防ぐためにも定期的なメンテナンスが必要です。

メンテナンスを適切に行わないと不具合が発生するほか、腐食などを引き起こし、屋根への負担が大きくなるといった事態も考えられます。

そのため適切なメンテナンスが必要です。メンテナンスは年1〜2回行うのが一般的で、モジュールの点検のほか、配線や接続部分の点検、清掃、パワーコンディショナーの点検などを行います。

規模によっては年間100万円程度の費用がかかり、企業にとっては大きな負担となります。高品質で長期保証を設けている製品を選ぶ、長期間のメンテナンス契約を締結するといった方法も検討してみましょう。 

反射光や、地震、台風などの災害リスク

太陽光発電設備を工場の屋根に設置する場合、災害リスクも考慮すると良いでしょう。

例えば、地震で太陽電池モジュールの重みが負担になって建物が倒壊したり、台風の際に太陽電池モジュールが飛散したりしたという例があります。

その他にも、太陽電池モジュールの反射光が近隣住民の生活環境に悪影響を与えた事例もあります。

住宅街の工場などではそうした懸念があるため、反射防止コーティングが施されたモジュールを使用したり、設置角度を再調整するなどの対策方法も心得ておきましょう。

ちなみに「リープトンエナジー」が提供する太陽電池モジュールは、反射による損失を押さえるARコート(反射防止膜)を全製品に施しているため、そうしたトラブルが起きにくいという特徴があります。

工場へ太陽光発電を導入する際の注意点と確認事項

工場に太陽光発電を導入する際に注意すべきポイント、あるいは事前に確認すべき項目について解説します。

 電力消費量を正確に把握する

まずは工場がどれくらいの電力を使用しているのか正確に把握しましょう。必要な電力に対して、設置する太陽光発電設備が小さい、大きすぎるといった失敗事例もあるからです。

また日中の電力消費が多い、夜間は少ないといった工場の電力消費パターンも確認しましょう。こうした情報をもとに、太陽光発電システムの規模を適切に設計することになります。

これらの事前調査は、太陽光発電設備の設置業者が行うことになるので、不安な点は確認するようにしましょう。

 屋根の形状と強度を確認する

 工場の屋根の形状や強度によって、太陽電池モジュールが設置できないケースもあります。特に築年数が経っている工場や特殊な屋根材を使用している場合は、設置業者に相談しましょう。

これらの事前調査も設置業者が行います。工場を建てた際の設計図などがあれば、用意しておきましょう。

法的規制や許認可が必要となる場合がある

太陽光発電設備は、「建築基準法」と「電気事業法」の規制があり、太陽電池モジュールの設置形態、設置方式、システムの規模などは法律によってルールが設けられていますので、理解しておくようにしましょう。

例えば、事業用の太陽光発電設備の場合、2000kW以上であれば、工事計画の届出が必要になります。

また、保安規定の届出は50kW未満の太陽光発電設備を設けるケースでも必要です。このように、さまざまな規制があることを覚えておきましょう。

実際には太陽光発電設置業者が適切なアドバイスをしてくれます。不安な点や不明な点は検討段階で質問し、解消しておくことがおすすめです。

工場で太陽光発電を導入する際によくある質問

 工場に太陽光発電設備を導入する際のよくある質問に対して、回答していきます。

費用はどのくらい?

経済産業省によると事業用太陽光発電設備の平均的な費用は、1kWあたり23.9万円(2023年設置、10kW 以上の平均値)が相場です。

屋根の上に100kWhの太陽電池モジュールを設置する場合、2,360万円前後かかると考えられます。

ただし、設置条件により費用は異なりますので、設置業者に見積もりを提出してもらうようにしましょう。

参考: 経済産業省 令和6年度以降の調達価格等に関する意見 P.11

どのような補助金が使える?

 2024年度から始まった「窓・壁等と一体となった太陽光発電の導入加速化支援事業」は窓や壁などを活用した太陽光発電設備の導入を行う際に活用できます。

条件の一つに、電気の供給先が同一敷地内とあるため、自家消費型太陽光発電が対象となります。

また、二酸化炭素削減のための設備更新や再エネ導入などに対する補助金制度「工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)」の利用も可能です。

 

発電量はどのくらい?

 発電量は、工場の屋根に設置する太陽光発電設備の発電容量により異なるのが一般的です。

なお、株式会社瀬戸水産が関東営業所第一工場の屋根に設置している太陽光発電設備の発電容量は75.6kWとなっており、工場で使用する電力の3割をまかなっています。

参考:環境省「自家消費型太陽光発電の導入先行事例」P.6

まとめ

工場の屋根に太陽光発電設備を設置する際のメリットやデメリットについて解説しました。

電気料金が削減できるほか、工場の電力使用量が削減できるなどのメリットがある一方、初期費用の回収などに数年かかるといったデメリットもあります。

そのため、適切なプランを立ててくれる会社選びが重要です。リープトンエナジーでは、各事業者様に合った最適なプランを太陽電池モジュールメーカーならではの視点でご提案します。

自社工場製造の太陽電池モジュールは、「Tier1リスト」に16回選出されるなど、国際的にも高い評価を得ています。

自家消費型太陽光発電設備やオンサイトPPAをご検討中の企業ご担当者様は、お気軽にご相談ください。

監修者

リープトンエナジーブログ編集部

”神戸発”太陽電池モジュールメーカー、リープトンエナジーが太陽光発電について易しく詳しく解説します。お問い合わせは、右上の「お問い合わせ」からお気軽にどうぞ。

記事をシェアする

  • X