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【仕組みから理解】自家消費型太陽光発電のメリットと効果的な活用法

太陽光発電で得られた電気の活用方法を問われたとき、まずは「売電」を思い浮かべる人も多いでしょう。

しかし、売電価格の下落と電気代の高騰傾向が続く今、注目を集め始めているのは「電気の自家消費」です。

そこで本コラムでは、自家消費型太陽光発電の仕組みや基礎知識から、メリット、効果的な活用法まで詳しく解説します。ぜひ、太陽光発電の導入を検討する際の参考にしてください。

 

自家消費型太陽光発電とは?仕組みをわかりやすく解説

自家消費型太陽光発電とは、発電した電気を「系統連系型システム」という方式で自家消費する設備です。

電気の自家消費によって電力会社から購入する電力量を抑えられるため、電気代の削減につながります。

もし発電した電力を日中に使い切れなかったとしても、電力を無駄にすることはありません。余った電気は、蓄電池に貯めておいたり、売電したりすることも可能です。

自家消費型太陽光発電のメリット

自家消費型太陽光発電の仕組みが理解できたところで、では、なぜ今、多くの企業が注目し始めているのでしょうか。ここからは、自家消費型発電ならではのメリットを紹介します。

売電するより自家消費した方がコストの削減幅が大きい

まず、電力会社に支払う電気代がどのように算出されているのかを確認しておきましょう。

出典:経済産業省資源エネルギー庁 電気料金の改定について(2023年6月実施)

上記から、1ヶ月の使用電力量が抑えられれば、その分電気代が抑えられることがわかります。

一方、FIT(固定価格買取制度)による再生可能エネルギーの買取価格は、年々下落しています。

2014年の太陽光発電の買取価格(10kW以上)は32+税でしたが、2023年は10円です。

参考:経済産業省資源エネルギー庁 過去の買取価格・期間等

売電による利益が大きく期待できなくなった今では、高騰傾向にある電気代を電気の自家消費によって抑える方が、コスト削減幅が大きいと考えられるようになってきています。

CO2の排出量を減らしつつ電気を使用できる

現在、世界的に脱炭素社会の実現に向けた動きが加速しています。
自家消費量を増やすことで電力会社の発電量を抑えられれば、それだけ地球環境への負担も軽減されるでしょう。

当社のモデルケースでは、電力の自家消費によって約1,590トンのCO2削減が実現すると見込まれています。

外部から電気の供給が遮断された時も、自社の電気を使用できる

自家消費型太陽光発電を導入すれば停電時にも電気が使えます。

そのため、BCP(防災)対策としても有効です。実際に、自家消費型太陽光発電の導入が自然災害による停電への備えにつながった事例もあります。

宮崎県日南市でカフェを経営するR.R.Conys株式会社では、台風によって年に一度は発生する停電対策のために自家消費型太陽光発電を導入しました。いざという時には、近隣住民も電気が使えるよう計画されています。

参考:経済産業省 自家消費型太陽光発電の導入先行事例

遮熱効果により空調設備の節電になる

屋根に自家消費型太陽光発電を設置する場合は、太陽電池モジュールによる遮熱効果が期待できます。

屋根上に太陽電池モジュールの設置がある部分と、ない部分とでは、最大で約10℃程度の温度差が見られるのです。

太陽電池モジュールの設置による遮断効果によって室内温度の上昇を抑制でき、空調設備の使用量が削減されます。

自社の敷地を有効活用できる

工場立地法では、太陽光発電施設は環境施設として扱われます。

そのため、屋上などに設置した太陽光発電の面積相当分は、環境施設面積に算入できるのです。これにより、自社施設の新設・増設時に敷地の有効活用が期待できます。

参考:高槻市 太陽光発電施設の環境施設への位置づけ

税制優遇を受けられる

太陽光発電で得られた電気を売電する場合、税制優遇を受けられません。

一方、全く売電をしない場合には、中小企業経営強化税制が活用可能です。

中小企業経営強化税制とは、中小企業の設備投資を支援する制度です。これを活用すると、設備投入費用の即時償却または取得価格の最大10%の税額控除といった優遇が受けられます。

参考:国税庁 No.5434 中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)

自家消費型太陽光発電の導入時の注意点

多くのメリットがある自家消費型太陽光発電ですが、導入する際には注意点もあります。
ここでは、押さえておきたい主な注意点を紹介します。

初期投資とランニングコストがかかる

自家消費型太陽光発電は、導入にも維持にも費用がかかります。

特に、設備購入費や工事費が含まれる初期投資は大きな額になりやすいでしょう。
ただし、太陽光発電の導入にはさまざまな補助金が用意されています。

上手に活用すれば、初期費用を抑えた導入が可能です。

【補助金例】

  • ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
  • 需要家主導による太陽光発電導入促進補助金
  • 新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業

ランニングコストには、点検費や修繕費、保険代などが含まれます。

50kW以上の太陽光発電には法定点検が義務づけられているため、必要経費と認識しておきましょう。

売電型から切り替える場合は別途費用がかかる

売電型の太陽光発電を自家消費型太陽光発電に切り替える場合には、逆潮流対策のための工事が必要です。

そして、その分費用も生じます。逆潮流とは、太陽電池モジュールで発電した電気が、電力会社側へ流れていくことです。

太陽電池モジュールの発電量が、自家消費電力量を上回った場合に起こります。

適切な設置場所の選定と法規制に対処する必要がある

自家消費型太陽光発電は、適切な場所に設置されることで最大限の能力を発揮するものです。
発電ポテンシャルが低い場所に設置してしまうと、満足な発電量が得られない恐れがあります。

適切な設置場所には、以下のような場所が挙げられます。

  • 日光を遮るものが存在しない
  • 南向き
  • 傾斜がない
  • 災害リスクが少ない

また、太陽光発電の設置に関連する法規制への対処も必要です。さまざまな法令がありますが、少なくとも、「建築基準法」と「電気事業法」の2つは押さえておくとよいでしょう。

自家消費型太陽光発電をより効果的に活用する方法

せっかく自家消費型太陽光発電を導入するのであれば、より効果が期待できるよう活用したいところです。
そこでここでは、
2つの方法を紹介します。

蓄電池を併用する

自家消費型太陽光発電と蓄電池を併用すれば、発電した電気をフレキシブルに活用しやすくなるでしょう。

日中に使い切れない電気を貯めておけば、時間や天候に左右されずいつでも好きな時に使えます。

費用を抑えたい場合は、工事費を削減できる同時導入がおすすめです。

エネルギーマネジメントシステムを活用する

エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは、自社施設における発電量や電気消費量を可視化するシステムです。

常に電力に関わるデータの計測・解析結果が確認できるため、コスト意識や省エネ意識を高められます。

さらに、エネルギーマネジメントシステムはセンサーや制御機器などを使って電力運用の最適化も実現します。効率的に電力を使うために、ぜひ導入しておきたいシステムです。

自家消費型太陽光発電の今後の展望

最後に、自家消費型太陽光発電の今後の展望について解説します。導入を判断する際の参考にしてください。

技術革新と効率向上

太陽光発電にまつわる技術は、現在も日々進化し続けています。

それに伴い、発電効率のさらなる向上も期待されています。日本の再生エネルギー拡大の切り札として注目されているのは、「ペロブスカイト太陽電池」です。

これまでのガラス製太陽電池モジュールでは、重さや耐久性が課題とされてきました。その課題を解決する技術として、軽くて柔軟なペロブスカイト太陽電池に期待が寄せられています。

また、これまでの太陽光発電は、屋根や壁に後づけされることが一般的でした。しかし近年は、屋根や壁と一体化した「建材一体型PVが人気を集めています。

今後の普及予測

一般社団法人太陽光発電協会の発表によると、国内の太陽光発電の導入ポテンシャルは2,380GWDCと膨大です。

ところが、2022年度末の導入量はDCベースで87GWDC(71GWAC)と導入ポテンシャルの3.6%までしか到達していません。

出典:太陽光発電産業の新ビジョン“PV OUTLOOK 2050”(2024年版ver.1)

2050年には、導入量は22%まで拡大し、電源構成に占める太陽光発電の比率は36%に達する見通しです。

参考:太陽光発電産業の新ビジョン“PV OUTLOOK 2050”(2024年版ver.1)

まとめ

自社で発電した電気を自家消費する自家消費型太陽光発電は、電力会社から購入する電力量を抑えて電気代の削減を実現できる設備です。

電気代の高騰や売電による利益の低下傾向が続く今、多くの企業から注目され始めています。

リープトンエナジーは、高品質かつ低価格の太陽電池モジュールを自社工場にて製造している日本の太陽電池モジュールメーカーです。その品質は、「Tier1」や「PVEL」などの世界的認証機関にも認められています。

当社では日本メーカーならではのきめ細かいサービスと、世界で競争できる高い品質の太陽電池モジュールをご提供可能です。自家消費型太陽光発電をご検討の際にはぜひご相談ください。

監修者

リープトンエナジーブログ編集部

”神戸発”太陽電池モジュールメーカー、リープトンエナジーが太陽光発電について易しく詳しく解説します。お問い合わせは、右上の「お問い合わせ」からお気軽にどうぞ。

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