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法人向け/ソーラーカーポートを導入するメリット・デメリット

建物の屋根や空き地を活用した太陽光発電の導入が進んだ今、未開発の適地・適所は少なくなってきています。そこで多くの企業から注目を集めているのが、駐車場に設置して太陽光発電を行うソーラーカーポートです。

本コラムでは、企業がソーラーカーポートを導入することのメリットやデメリットを詳しく解説します。

導入時に利用できる補助金や導入の手順、事例なども紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

ソーラーカーポートとは

ソーラーカーポートとは、柱と屋根で構成されるカーポートの屋根部分に、太陽電池モジュールが取り付けられている発電施設を指します。駐車スペースを活かして再生可能エネルギーを得られる新たな選択肢として、多くの企業から注目され始めています。

ソーラーカーポートの種類は、「一体型」と、「搭載型」の2種類です。太陽電池モジュールの設置スタイルやカーポートの特徴において、以下のような違いが見られます。

 

太陽電池モジュールの設置

特徴

一体型

・カーポートの屋根と一体化している
・原則、太陽電池モジュールの取り外しは不可

・太陽電池モジュールの設置を前提に設計される
・屋根がフラットで、風の抵抗を受けにくい

搭載型

・既存のカーポートに架台を搭載して設置
・架台の高さ・角度の変更や太陽電池モジュールの取り外しが可能
・太陽電池モジュールの設置を前提としていないカーポートには設置できない

・太陽電池モジュールとカーポートは別々に設計・製造される
・主に折板屋根(せっぱんやね)といわれる金属製の屋根材が選ばれる
・太陽電池モジュールを設置しなくても単体で使用できる

ソーラーカーポートの耐用年数

耐用年数の正式名称は「法定耐用年数」で、法的にモノの経済的価値を設定したものです。

法定耐用年数は、減価償却を行う際の基準として用いられています。多くのソーラーカーポートは、税務上「露天式立体駐車場」に分類されます。

そして、その法定耐用年数は15年です。

参考:国税庁 耐用年数等の見直し(平成20年度税制改正)に関するQ&A

ソーラーカーポートを導入するメリット

ソーラーカーポートを導入するメリットは、主に以下の6点です。それぞれ詳しく紹介します。

電気代の削減効果が見込める

ソーラーカーポートで発電した電力は、自家消費が可能です。

自社の敷地内で得られた電気を優先して使用すると、電力会社から購入する電力量を抑えられます。その結果、電気代の削減も実現するでしょう。

電気代の高騰が続いている昨今においては、決して小さくないメリットです。

スペースを有効的に活用し、発電量を増やせる

一般的なカーポートの屋根は、強度の問題からデッドスペースになりがちです。

しかし、太陽電池モジュールが搭載されているソーラーカーポートであれば、駐車場の上部スペースを「発電所」として有効活用できます。

すでに事務所や工場といった建物の屋根に太陽光発電を設置している場合も、加えてソーラーカーポートを導入することでより多く発電できるでしょう。

災害時の対策になる

ソーラーカーポートの導入は、企業のBCP対策としても有効です。

BCPとは、災害などの緊急事態発生時に、企業活動を維持したり、迅速に再開したりするための計画のことをいいます。

特に来客のある店舗や商業施設では、緊急事態時の顧客や従業員の安全確保は大きな課題です。

ソーラーカーポートで得られた電力があれば、停電時でも電気の使用が可能です。施設の災害耐性を高められるだけでなく、設置場所によっては地域のレジリエンス強化にもつながります。

遮熱効果がある

ソーラーカーポートの下に駐車する場合は、太陽電池モジュールが屋根替わりになり青空駐車や一般的なカーポート下での駐車より遮熱効果が高まります

太陽電池モジュールが設置されている屋根と、されていない屋根の下の温度を比べると、最大約10℃程度の差があることがわかっています。

特に、夏場には車内温度が上がりやすい点を考慮すると、ソーラーカーポートの導入意義は大きいといえるでしょう。

電気自動車と相性が良い

ソーラーカーポートの導入に併せて充電用のコンセントやスタンドを設置すれば、自社で電気自動車の充電が可能です。

使用や設置の状況にもよりますが、一般的には、ソーラーカーポートの発電量は電気自動車の充電を十分にまかなえるといわれています。

自家消費用だけでなく、来客者用にも充電インフラを整備すれば、顧客満足度の向上にもつながるかもしれません。

SDGsにつながる、また「RE100」に活用できる

企業が現代のビジネスシーンを生き抜くためには、SDGsやCO2削減、再生可能エネルギーの利用といった取り組みは避けて通れないでしょう。

企業の場合、ソーラーカーポートの導入を「RE100」にも活用できます。

RE100とは、「100%再生可能エネルギーで、自社事業で消費するエネルギーを調達すること」を目標に掲げ、宣言する企業が加盟する国際的なイニシアチブです。

環境問題の改善につながる活動は、企業価値をも左右する事項になってきたとみてよいでしょう。

ソーラーカーポートを導入するデメリット

ソーラーカーポートの導入を成功させるためには、デメリットも把握した上で検討を進める必要があります。ここでは、3つのデメリットを紹介します。

建築基準法や消防法に留意する必要がある

ソーラーカーポートは、太陽電池モジュール下に「駐車場」という用途があるため、建築基準法上の「建築物」かつ「特殊建築物」に該当します。

したがって、ソーラーカーポートの導入では、建築基準法や消防法などの関係法令を遵守しなければなりません。

建築基準法や消防法は建築物の安全性を確保するための法律であり、法令遵守は企業が果たすべき責任のひとつです。

参考:建築基準法第6条1項第一号
参考:国土交通省 太陽光発電設備等に係る建築基準法の取扱いについて

初期費用や維持費がかかる

ソーラーカーポートは、一般的なカーポートに比べて強度が高い上に、太陽電池モジュールの設置・搭載費用が加算されます。

初期費用は、一般的なカーポートよりも高額な傾向にあると考えておきましょう。

さらに、ソーラーカーポートの導入後には、維持費もかかります。

ただし、電力の自家消費で電気代の削減が見込まれることを考慮に入れると、最終的には費用の回収や黒字化が期待できるでしょう。

固定資産税がかかる場合がある

カーポートには固定資産税がかかる場合があります。固定資産税は地方税のため、各地方自治体により条件が異なります。

例えば、栃木県下都賀郡野木町では下記のように定義されています。

柱や屋根だけで構成されたようなカーポート、あるいは外壁が二方向までの車庫については、外気分断性を満たしていないと判断され、家屋として課税はされません。

ただし、店舗や事務所等において来客用(事業用)のカーポートを設置した場合、償却資産となりますので申告の義務があります。

引用:野木町 課税対象になる家屋について
参考:総務省 固定資産税

ソーラーカーポートの費用は?利用できる補助金も紹介

ソーラーカーポートの価格は、カーポートのサイズや太陽電池モジュールの枚数、発電量、メーカーによって異なります。多くの場合、屋根に設置する場合と比べて高額になるといわれています。

ただし、ソーラーカーポートの設置費用は、補助金を利用することで抑えられる可能性があります。

日本政府によって支給されるのは、「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業)」です。

この補助金を利用すれば、ソーラーカーポートの導入費用の最大3分の1が補助されます。

参考:環境省 民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
参考:一般社団法人環境技術普及促進協会 令和6年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業)新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業のうち再生可能エネルギー事業者支援事業費交付規程

ソーラーカーポートの導入手順

ここでは、ソーラーカーポートの大まかな導入手順を確認しておきましょう。

①導入計画の立案
ソーラーカーポートの種類や設置場所、駐車可能台数などを検討する。

②現地調査・詳細設計
発電が可能か、効果的な発電を実現するためにはどのような設計が必要か、などを調査し、設計に着手する。

③建築確認申請書類(図面・構造計算書など)の作成・提出
ソーラーカーポート施工業者などに代行を依頼するのが一般的

④確認済証の受領後、工事着工

⑤完了検査受検

⑥検査済証の受領後、引渡し

ソーラーカーポートの導入事例3選

最後に、環境省が発表するソーラーカーポートの導入事例集より、導入シーン別に3つ厳選して事例を紹介します。

商業施設

【株式会社 afterFIT:ケーヨーデイツー八街店】

株式会社 afterFITは、ホームセンター「ケーヨーデイツー八街店」を運営しており、同店駐車場の一部に、同社が発電事業者(PPA事業者)となって82台分の一体型ソーラーカーポートを設置しました。

駐車スペースの増台と併せて災害時における地域インフラ整備を実現したモデルケースです。

参考:環境省 ソーラーカーポートの導入事例集

企業の従業員用駐車場

【株式会社M-easy:廃校を活用した地域の活動拠点(コアオフィス)】

株式会社M-easyは、豊田市の中山間地域で運営するコアオフィスに授業員用駐車場として4台分の一体型ソーラーカーポートを設置しました。

規模こそ小さいものの、ソーラーカーポートの認知度が低い地域の普及啓発を実現し、地域貢献につながったケースです。

参考:環境省 ソーラーカーポートの導入事例集

工場

【株式会社ダイナックス:千歳工場】

株式会社ダイナックスは、同社千歳工場に356台分の一体型ソーラーカーポートを設置しました。

太陽電池モジュール出力1,006kW、パワコン出力782kWのソーラーカーポートは、実に施設内の年間消費電力量の約20%(昼間)の電力をまかなっています。

電気代やCO2の削減に加え、従業員からは「帰宅時に車の雪下ろしをしなくて済む」といった声が聞かれました。福利厚生面でも好評を得たケースです。

参考:環境省 ソーラーカーポートの導入事例集

まとめ

ソーラーカーポートは、自社の駐車場を有効活用しながら太陽光発電が行える設備です。

電気代の削減効果が見込めるだけでなく、災害に強い企業づくりにつながるなど、さまざまなメリットをもたらします。

電気代が高騰する今、多くの企業が注目しているのは、電気代の削減効果ではないでしょうか。ソーラーカーポートの導入は、電気の自給自足の一手として有効です。

リープトンエナジーは、「Tier1」や「PVEL」などの世界的第三者認証機関に品質の高さを認められた日本の太陽電池モジュールメーカーです。ソーラーカーポートの導入をご検討の際には、ぜひリープトンエナジーにご相談ください。

 

 

 

 

監修者

リープトンエナジーブログ編集部

”神戸発”太陽電池モジュールメーカー、リープトンエナジーが太陽光発電について易しく詳しく解説します。お問い合わせは、右上の「お問い合わせ」からお気軽にどうぞ。

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