雪国でも太陽光発電はできる?よくあるトラブルと対処法を解説
積雪の多い雪国では「太陽光発電設備は設置できない」「発電効率が悪い」と考えている企業も多いのではないでしょうか。
太陽光発電設備は、太陽電池モジュールに太陽光が当たることで発電する仕組みです。そのため、モジュールが雪で覆われるなどなければ、問題なく発電することができます。
今回の記事では、雪国でも太陽光発電設備は設置できるのか、さまざなな角度から解説します。
また、雪国での太陽光発電に関してよくあるトラブルやその対処法についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
雪国での太陽光発電の特徴
太陽光発電の設置や発電効率には気象条件が大きく影響します。
では、積雪はどのような影響を与えるのでしょうか。詳しく解説します。
雪国だと積雪で発電しない?
結論から言うと、雪国でも太陽光発電を行うことが可能です。ただし、太陽電池モジュールを覆い尽くすように雪が積もっている場合は、発電量は低下します。
また、積雪の重みによって太陽電池モジュールに負荷がかかると、変形や破損することも考えられます。そのため、知らない間に発電効率が低下する可能性もあります。
このように積雪によるリスクはありますが、太陽電池モジュールに雪が積もらないように設置角度を調整するなどし、雪が積もらない工夫をすれば問題なく発電できます。
反対に、両面発電パネルの設置により雪の反射光によって発電効率が上がる可能性もあります。
屋根上の太陽電池モジュールの雪下ろしをした方が良い?
太陽電池モジュールの上に雪が積もっている場合、発電効率が低下する可能性があるため雪下ろしは行った方がいいでしょう。ただし、屋根の上の作業ではいくつか注意すべきことがあります。まず、落下事故の危険性を考えなくてはいけません。
また不注意によって、太陽電池モジュールを傷つけてしまうと余計なコストが発生する可能性もあります。雪下ろしをする必要がある場合は、太陽光発電設備が設置された屋根での雪下ろし実績がある専門業者に委託するのが最善策といえます。。
雪国で太陽光発電を導入するメリット
雪国で太陽光発電を導入するのはリスクばかりではありません。ここでは代表的な2つのメリットについて解説します。
発電効率が安定している
雪国は積雪がありますが、発電効率が安定しているという特徴があります。全国の各地の年間予想発電量は雪国でも大きな差はありません。
下記の表は、環境省の「令和元年度再生可能エネルギーに関するゾーニング基礎情報等の整備・公開等に関する委託業務報告書」から、全国各地の年間予想発電量を抜粋したものです。
地点 |
年平均日射量(kWh/㎡) |
年間予想発電量(kWh/年/kW) |
札幌 |
3.58 |
1150 |
青森 |
3.44 |
1105 |
秋田 |
3.41 |
1095 |
千葉 |
3.70 |
1188 |
東京 |
3.53 |
1134 |
新潟 |
3.48 |
1118 |
長野 |
3.80 |
1221 |
大阪 |
3.76 |
1208 |
福岡 |
3.84 |
1233 |
青森や秋田は年間予想発電量が東京よりも低いものの、札幌や長野は東京よりも高い数値です。
こうした現象の理由は太陽光発電設備が暑さに弱く、25℃以上になると発電効率が低下するためです。このような理由から、雪国は夏の気温が低いため発電量が維持でき、一年を通してみると発電量はそれほど差がないのです。
また、梅雨前線は北海道まで上昇しないことが多く、本州のように梅雨時期に発電効率が下がるといった心配もありません。
参照:環境省「令和元年度再生可能エネルギーに関するゾーニング基礎情報等の整備・公開等に関する委託業務報告書」
台風による被害を受けるリスクが低い
台風が度々上陸する地域においては、太陽電池モジュールの破損や、飛散リスクがあります。
雪国は一般的に日本海側や内陸部に集中しており、シベリア大陸から冷たくて乾いた空気が入る冬型の気圧配置になるため、台風の被害を受けるリスクが低いというメリットがあります。
雪国での太陽光発電のトラブルと対策
太陽光発電設備の導入には、積雪や落雪といった雪国特有のトラブルや課題もあります。ここでは太陽光発電の代表的な「積雪対策」と「落雪対策」について解説します。
積雪対策
特に豪雪地帯では、屋根の上に1m以上の雪が積もることもあります。太陽電池モジュールに雪が積もると、発電効率が下がるため積雪対策は必須です。そこで、耐久性や設置条件など、
具体的な対策方法について3つ紹介します。
積雪対応の架台を選ぶ
積雪量によっては重みで太陽電池モジュールが割れたり、屋根が損傷するといったトラブルが起こります。そのため強度の高い架台を選ぶようにしましょう。
施工の際に、架台フレームの本数を増やして雪の重みを分散させるといった方法もあります。
最適な設置角度
太陽電池モジュールの表面はガラス製になっており、元々雪が滑る仕様ですが、設置角度を工夫することで積雪対策になります。
最も発電効率が高い傾斜角度は地域によって異なりますが、雪が落ちやすくなるのは15度以上とされます。太陽光の当たり方や発電効率の変動などを考慮して調節するといいでしょう。
融雪システムの種類と効果
雪国でも太陽光発電のメリットを活かせるように、融雪機能がついた太陽電池モジュールも登場しています。一般的なのは、太陽電池モジュールに組み入れたヒーターを発熱させて雪を溶かすヒーター方式です。
また後付けで、スプリンクラーやホースによる散水式、パイプにお湯を流して雪を溶かすボイラー式なども活用されています。
散水方式は電気料金が抑えられる一方、水が屋根から落ちて凍る可能性があります。またボイラー式は融雪能力が高い反面、初期費用とランニングコストがともに高額になると考えられます。
方式 |
メリット |
デメリット |
ヒーター式 |
市販された商品がある |
電気代がかかる |
散水式 |
ランニングコストが抑えられる |
散水した水が凍る可能性がある |
ボイラー式 |
融雪能力が高い |
ランニングコストが高くなる |
落雪対策
雪国では屋根に落雪対策をしているケースがほとんどですが、屋根の上に太陽電池モジュールを設置する場合は、雪の落ち方に変化が起きる場合があります。改めて確認しましょう。
屋根上の軒先の手前にスペースを作る
切妻屋根や片流れ屋根などに太陽光発電設備を設置する場合は、軒先の手前にスペースを作るのがおすすめです。
太陽電池モジュールの表面を滑った雪がそこで止まりやすくなり、落雪のリスクが低くなります。
雪止め用の金具を取り付ける
雪止め用設備の設置または強化も検討しましょう。
雪止め用設備には、羽根型やアングル型、金網型などいくつか種類があります。屋根の形状や積雪量、雪質、風向き、方角などに合わせて選ぶことになります。また雪国では、建築物を新築する際に無落雪屋根を採用するケースが主流になっています。
事務所や工場などが無落雪屋根を採用している場合、太陽電池モジュールを設置することで落雪に関して変化が起きる可能性もあるため、専門業者と相談して落雪対策を行いましょう。
雪国での太陽光発電導入に最適な当社製品を紹介
リープトンエナジーでは、雪国でも設置できる製品を用意しています。代表的な太陽電池モジュールと架台のほか、アタッチメントとモジュールのセット商品について紹介します。
製品名 |
特長 |
N-type太陽電池モジュール |
少ない日照でも高い発電性能を誇ります。また両面発電タイプで反射光により、発電効率の向上が見込めます。 |
野立架台・基礎杭 MGA-SⅡ 強化型 |
積雪が多い地域、風が強い地域に対応できる強化タイプです。耐積雪は標準で80㎝、最大で150㎝です。 |
屋根用積雪用架台セット |
太陽電池モジュールと「耐積雪金具セット」を組み合わせた商品です。 |
N-type太陽電池モジュール
リープトンエナジーのN-type太陽電池モジュールは、積雪荷重5400Pa(パスカル)で、これは250㎝の積雪に耐えられる数値です。
また低照度機能を有しており、少ない日照でも高い発電性能を誇ります。両面発電タイプの採用で、雪による反射光を利用し発電効率の向上が見込める場合もあります。
野立架台・基礎杭 MGA-SⅡ 強化型
MGA-SⅡは野立用の架台・基礎杭で、雪国や風が強い地域に対応できる強化タイプです。耐積雪は標準で80㎝、最大で150㎝です。
また、耐風圧は標準で36m/s、最大で55m/sとなっています。
屋根用積雪用架台セット
積雪用架台セットは、太陽電池モジュールと「耐積雪金具セット」を組み合わせた商品です。耐積雪金具によって雪の重みが分散するため、太陽電池モジュールの変形や破損を防ぎます。
なお、最大積雪量は200㎝、風速は38m/s(勾配0寸〜5寸以下)まで対応可能です。
まとめ
雪国に設置する太陽光発電設備に焦点を当てて解説しました。雪国で太陽光発電設備を利用するには以下のメリットがあります。
- 夏場に発電効率が落ちない
- 台風などで太陽電池モジュールが破損するリスクが低い
- 反射光によって発電効率が向上する、など
また、積雪や落雪など雪国特有のトラブルもありますが、対策することで発電することが可能です。 ただし、さまざまな事態を考慮して設置する必要があるため、雪国で太陽光発電設備を設置する際には製品選び、業者選びが重要です。
なおリープトンエナジーでは、今回紹介したように雪国にも適した製品を揃えており、雪国での施工実績も豊富です。ぜひ、ご検討ください。
監修者
リープトンエナジーブログ編集部
”神戸発”太陽電池モジュールメーカー、リープトンエナジーが太陽光発電について易しく詳しく解説します。お問い合わせは、右上の「お問い合わせ」からお気軽にどうぞ。