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【わかりやすく解説】法人が太陽光発電の導入で節税する方法6選

太陽光発電の導入によって、節電や脱炭素だけでなく、節税も実現できる可能性があることはご存じでしょうか?クリーンエネルギーへの関心が高まる中、太陽光発電の導入を検討している企業も少なくないでしょう。

本記事では、法人が太陽光発電を導入によって節税する方法を紹介します。

また、法人が太陽光発電を始めるメリット・デメリットについて知りたい方は以下の記事をご参考ください。

 

 

売電と自家消費で節税できる費用が異なる

費用の計算

産業用太陽発電で得られた電気の活用方法には、主に「売電」と「自家消費」の2通りがあり、これらの種類に応じて節税できる費用が異なります。

売電とは、太陽光発電で得られた電気を、FIT (固定価格買取)制度を利用して電力会社に売り、収益を得る方法です。売電には、得られた電気のすべてを売る「全量売電」と、自家消費で使い切れなかった電気を売る「余剰売電」があります。

<用語解説>
・FIT (固定価格買取)制度
太陽光など再生可能エネルギー由来の電力を「一定期間」「固定価格」で電力会社が買い取ることを国が約束する制度


一方で自家消費とは、太陽光発電によって得られた電気を自社設備で使用する方法です。電気代や二酸化炭素の排出量の削減が期待できることから、近年の主流となってきています。

売電と自家消費では、生じる税金が異なるため、産業用太陽光発電の導入を検討している人は、ぜひご参考ください。

太陽光発電に関連する税金

税金の計算

産業用太陽光発電に関連する税金は、以下の2種類です。

  • 法人税
  • 固定資産税

それぞれ詳しく解説していきます。

法人税

法人税とは、法人が企業活動によって得た所得に対して課される税金です。法人が得る売電収入は、事業所得に該当します。そのため、売電する場合に法人税の支払いが必要です。

一方、自家消費の場合は売上などが発生しないため、法人税の課税対象とはなりません。

固定資産税

固定資産税とは、土地や家屋、償却資産にかかる税金のことです。

法人の場合、工場内に設置している機械や社内の備品などといった多くのものが償却資産に該当する可能性があります。

<用語解説>
・償却資産
土地と家屋以外で事業用に使用することが可能な資産のこと。現在使用していなかったとしても、事業用に使用することを目的として、いつでも稼働できる状態で保有しているものも該当する。


産業用太陽光設備は、規模や電力の活用方法に関わらず、その多くが償却資産に該当します。太陽電池モジュールが建材として家屋と一体になっている場合は、償却資産ではなく家屋と見なされますが、この場合でも家屋として固定資産税の対象となることに変わりはありません。

つまり固定資産税は、売電・自家消費のいずれの場合にも発生する税金です。

また、太陽光発電設備を土地に設置(野立て)した場合は、その土地も固定資産税の対象となります。ただし、野立ての太陽光発電設備は建物と見なされないため、設置する土地の課税処理上の扱いは「宅地」ではなく「雑種地」となります。

【保存版】法人向けの太陽光発電の節税方法5選

法人向け太陽光発電の節税方法

ここでは法人向けに太陽光発電の節税方法を5選紹介します。全量売電か自家消費かなどによって対象が変わってくるため、自社に合う方法はどれか確認しておきましょう。

方法

種類

設備費や維持管理費を経費で計上する

全量売電・自家消費

消費税の還付を受ける

全量売電

中小企業経営強化税制を利用する

余剰売電・自家消費

中小企業投資促進税制を利用する

自家消費

カーボンニュートラルに向けた投資促進税制を利用する

余剰売電・自家消費

設備費や維持管理費を経費で計上する

種類

節税

全量売電

自家消費

太陽光発電にかかる設備費や維持管理費は、経費として計上可能です。太陽光発電の法的耐用年数は17年とされているため、その期間は減価償却費として計上し続けられます。

また、太陽光発電を動かすための電気代やメンテナンス費用なども太陽光発電が稼働するあいだ経費として計上し続けられるため、設備費・維持管理費ともに中長期に渡る節税効果が期待できるでしょう。

電力の活用方法によらず利用できるため、ぜひ押さえておきたい方法です。

参考:東京都主税局 減価償却資産の耐用年数表 別表第2 機械及び装置の耐用年数表

消費税の還付を受ける

種類

節税

全量売電

自家消費

×

太陽光発電で消費税の還付が受けられるのは、課税仕入れで支払った消費税が売電収入(課税売上)の消費税額を上回る場合で、その差額が還付額となります。

自家消費では売電収入が発生しないため、消費税の還付は受けられません。消費税の還付対象者は課税事業者とされていますが、免税事業者でも課税事業者の要件を満たしていれば還付対象になります。

税制優遇制度を活用する

太陽光発電の導入で活用できる可能性がある制度は、主に3つあります。 それぞれ内容や条件が異なるため、自社の状況と照らし合わせながら確認してみてください。

【税制優遇制度】

  • 中小企業経営強化税制
  • 中小企業投資促進税制
  • カーボンニュートラルに向けた投資促進税制

中小企業経営強化税制を利用する

種類

節税

全量売電

×

余剰売電

自家消費

中小企業経営強化税制とは、中小企業が経営力の向上につながると見込まれる設備を新品で取得した場合に適用される制度です。

自家消費、もしくは自家消費率が50%以上ある余剰売電に活用される太陽光発電(160万円以上/台)について、即時償却か税額控除のいずれかが適用されます。

指定期間は2025年3月31日までで、経営力の向上を計画をし、中小企業経営強化法に基づいた認定を受けなければなりません。

対象となる中小企業は以下のとおりです。

  • 資本金額、または出資金額が1億円以下の法人
  • 資本、もしくは出資を必要としない法人のうち、常時従業員数が1,000人以下の法人
  • 常時従業員数が1,000人以下の個人、農業協同組合など


ただし、以下の3条件を満たす場合は対象外です。

  1.  同一の大規模法人より、2分1以上の出資を受けている場合
  2.  2社以上の大規模法人より、3分2以上の出資を受けている場合
  3.  前年までの3事業年度の所得平均金額が15億円を上回る場合


また、以下の業種は対象外となる点にも注意が必要です

  • 電気業
  • 水道業
  • 鉄道業
  • 航空運輸業
  • 銀行業
  • 映画業以外の娯楽業

参考:中小企業庁 中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き

中小企業投資促進税制を利用する

種類

節税

全量売電

×

余剰売電

×

自家消費

中小企業投資促進税制とは、中小企業が新品の機械や装置などを取得した際に利用できる制度です。自家消費に活用される太陽光発電(160万円以上/台)について、以下のいずれかが適用されます。

  • 取得価額の30%の特別償却
  • 7%の税額控除(資本金が3,000万円以下の法人のみ)

本来は2023年3月31日をもって終了する予定でしたが、2025年3月31日まで適用期限が延長されています。

対象となる中小企業は以下のとおりです。

  • 資本金額、または出資金額が1億円以下の法人
  • 資本、もしくは出資を必要としない法人のうち、常時従業員数が1,000人以下の法人
  • 常時従業員数が1,000人以下の個人、農業協同組合、商店街振興組合など


ただし、以下の3条件を満たす場合は対象外です。

  1.  同一の大規模法人より、2分1以上の出資を受けている場合
  2.  2社以上の大規模法人より、3分2以上の出資を受けている場合
  3.  前年までの3事業年度の所得平均金額が15億円を上回る場合

参考:中小企業庁 中小企業投資促進税制

カーボンニュートラルに向けた投資促進税制を利用する

種類

節税

全量売電

×

余剰売電

自家消費

カーボンニュートラル投資促進税制とは、以下のいずれかの設備の導入に対して最大10%の税額控除、または50%の特別償却が適用される制度です。
※ただし、中小企業者等では最大14%となるケースもある。

  1. 大きな脱炭素化効果が期待される製品を生産する設備
  2. 生産工程などの「脱炭素化」と「付加価値の向上」を両立する設備


太陽光発電設備の導入で活用できる可能性があるのは、2番目のケースでしょう。ただし、太陽光発電の導入前後で炭素生産性(国内総生産(GDP)を炭素排出量で割った値)の向上率が1%未満であれば対象外となります。

この制度の認定を受けられるのは、青色申告を行っており、かつ事業適応計画の認定を受けた法人です。

参考:経済産業省 カーボンニュートラルに向けた投資促進税制

太陽光発電設備の節税に関するよくある質問

太陽光発電設備の節税に関するよくある質問

最後に、太陽光発電設備の税金や節税でよく聞かれる疑問に回答します。太陽光発電の減価償却費についても解説するので、ここでしっかりと疑問を解消しておきましょう。

太陽光発電の導入による節税がほかの節税対策より優れている点は?

役員報酬の最適化を図ったり、固定資産を損金計上したりと、企業ができる節税対策はさまざまあります。すでにほかの節税対策を行っているため十分だと考える企業もあるでしょう。

しかし太陽光発電の導入による節税では、売電収入や電気代の削減といった資金面のメリットも得られる点でほかの節税対策とは異なります。さらにCO2の削減も期待できるため、地球環境保全への取り組みをアピールすることにもつながります。

定額法と定率法の違いは?

太陽光発電設備の減価償却費は、「定額法」と「定率法」の2つで算出できます。

定額法は、毎年一定額を減価償却する方法です。定額法の減価償却費は、「取得取得価格÷法定耐用年数」で算出されます。定額法では損益の予想が長期的に立てやすいのが魅力ですが、建物以外のものを償却する場合には届出が必要です。

定率法は、毎年一定の償却率で減価償却する方法です。初年度の減価償却費は「設備取得価格×償却率」、翌年以降は「設備取得価格–前年までの減価償却累計額×償却率」で算出されます。

定額法と比べると算出方法は複雑なものの、初年度に多額の償却が可能なため、太陽光発電の導入年に大きな売電利益があった場合におすすめの方法です。

一括償却(即時償却)と特別償却の違いは?

税制優遇を受けることを検討している場合、一括償却と特別償却のどちらを選択すべきか悩むケースも少なくないようです。どちらを選択してもトータルの支払い額は変わりませんが、節税効果が得られるタイミングなどで違いがあります。

一括償却は、設備導入年度に設備取得価格の全額を経費として計上できる方法です。初年度に大きな節税効果を実感できるものの、翌年度以降は経費として計上できません。

特別償却は、設備導入年度に限って、通常の減価償却費に設備取得価格の30%を加算して経費計上ができる方法です。適用年度を1年繰り越せたり、翌年度の税金を減らせたりするものの、会計処理が複雑化しやすいという難点があります。

節税以外にも初期費用を抑えられる補助金について知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

まとめ

電卓での計算

太陽光発電の導入は、節電や脱酸素だけでなく、節税にもつながる可能性のある施策です。

ただし、そのためにはさまざまな制度や自社状況を正しく理解しておく必要があります。そのため、太陽光発電を導入する際には、サポート体制が充実した実績のあるメーカー探しが重要です。

日本で生まれのリープトンエナジーは、国内外で多くの実績を重ねる太陽電池モジュールメーカーです。「Tier1」や「PVEL」といった世界的認証機関からも認められる技術力と、日本メーカーならではの細やかなサポート体制で導入から運用に至るまで寄り添います。

ご相談だけでも承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

監修者

リープトンエナジーブログ編集部

”神戸発”太陽電池モジュールメーカー、リープトンエナジーが太陽光発電について易しく詳しく解説します。お問い合わせは、右上の「お問い合わせ」からお気軽にどうぞ。

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