【法人向け】パワコンの交換に必要な費用相場は?寿命や補助金も解説
太陽光発電設備を設置している企業の担当者の中には、「最近、発電量が減ってきた」「設備の調子が悪い」と感じている方もいるのではないでしょうか。
その原因は、パワーコンディショナ(パワコン)かも知れません。実はパワーコンディショナの寿命は10年〜15年と言われており、太陽電池モジュールなどの他の機器よりも早く交換時期が訪れます。
そこで本記事では、パワーコンディショナを交換する際の費用について取り上げ、相場や費用を抑えるポイントなども紹介します。
目次
パワーコンディショナ交換費用の相場
パワーコンディショナを交換する際にかかる費用の内訳は、パワーコンディショナ本体の購入費と工事費用です。
相場は年々下がっており、資源エネルギー庁が2023年12月に公開した資料「太陽光発電について」によると、1kWあたり地上設置が2.9万円、屋根置きが3.2万円です。
パワーコンディショナ本体と工事費用のそれぞれにわけて、相場について解説します。
パワーコンディショナ本体の費用相場
事業用太陽光発電のシステム費用はすべての規模で低下傾向にあり、2023年に設置された10kW以上の太陽光発電システムの平均値(単純平均)は1kWあたり23.9万円です。
このうちパワーコンディショナ本体の費用は3.0万円で、単純に出力容量別にまとめると以下のようになります。
出力 |
価格 |
10kW |
30万円 |
20kW |
60万円 |
30kW |
90万円 |
40kW |
120万円 |
50kW |
150万円 |
ただし、この価格はあくまでも相場から算出したものです。メーカーや定格出力、搭載されている機能などによって価格が異なります。
参照:資源エネルギー庁「太陽光発電について」(P.12)
工事費用の相場
パワーコンディショナを交換する際にかかる工事費用は、一般的には10万円〜15万円が相場です。
ただし、パワーコンディショナの設置場所や重量などによっても異なります。例えば、容量100kWの産業用パワーコンディショナの場合、重量が100kg以上になるケースもあります。
また出力容量に応じて、複数台のパワーコンディショナを設置しているケースもあります。
このような場合は大規模な作業になるため、工事費用が高額になると考えられます。事前に見積もりを取ることがおすすめです。
参照:太陽光発電協会「よくある質問」
参照:環境省「平成24年度使用済再生可能エネルギー設備のリユース・リサイクル基礎調査委託業務報告書」( P.182)
パワーコンディショナ交換の必要性と時期
パワーコンディショナは電子回路が組み込まれている電気設備機器で、湿気や静電気、塩害や保守点検不足、また、災害等の影響で経年劣化したり故障してしまいます。
そのため寿命があり、劣化状況に応じて交換しなければなりません。この項目では、パワーコンディショナの役割や交換時期の目安について解説します。
パワーコンディショナの役割と重要性
太陽光発電システムに用いるパワーコンディショナの重要な役割は、直流電流を交流電流に変換することです。
太陽電池モジュールで発電した電気は直流電流で、事業所や工場の中で使えるのは交流電流のため、パワーコンディショナは、直流電流を交流電流に変換する重要な役割を果たしているのです。
またパワーコンディショナには、発電量を最大化するための「MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御機能」をはじめ、「自立運転機能」「逆潮流制御機能」「系統連系保護機能」といったさまざまな機能が搭載されています。
これらの機能によって、安定かつ効率的に電気が使えるようになっています。
パワーコンディショナの寿命と交換時期の目安
パワーコンディショナの寿命は一般的に10〜15年と言われています。無償保証期間が10年〜15年になっているのも、寿命に合わせて設定されているからです。
一方、太陽電池モジュールの寿命は20~30年が一般的です。そのため、設置してから10年を経過したあたりで不具合が起きている場合はパワーコンディショナの寿命が疑われます。修理や交換をしないと発電量が回復しないため、早めに業者に連絡して状態を確認してもらいましょう。
参照:太陽光発電協会「よくある質問」
参照:環境省「平成24年度使用済再生可能エネルギー設備のリユース・リサイクル基礎調査委託業務報告書」(P.182)
パワーコンディショナの交換費用を抑える方法4選
産業用のパワーコンディショナの場合、交換にかかる費用は高額になる可能性があります。太陽電池モジュールの規模に合わせて大容量のパワーコンディショナを設置していたり、複数台設置しているケースもあるからです。
そこで、パワーコンディショナの交換費用を抑えるための方法を紹介します。
メーカーと直接取引をする
パワーコンディショナを購入する際に、メーカーと直接取引をすれば流通マージンは不要です。そのため、パワーコンディショナ本体を安く購入できます。
「太陽光発電について」によると、2022年に設置された事業用太陽光発電について直接取引などで低コストを実現したのは4006件のうち655件(16.4%)です。
また、「パワーコンディショナ・架台等」の全案件(4006件)の平均値は6.3万円/kWですが、直接取引をした場合は5.4万円/kWに安くなったと紹介されています。
参照:資源エネルギー庁「太陽光発電について」(P.33)
保証期間内に交換する
パワーコンディショナには、メーカー保証がついています。そのため、保証期間内に交換または修理をする際基本的に費用はかかりません。保証期間はメーカーによって異なりますが、10年〜15年が一般的です。
ただし故障の要因によっては、保証期間内であっても保証対象外になるケースもあります。一般的には経年劣化による消耗は保証対象外となり、工事費用は自己負担になるため注意しましょう。
複数業者から見積もりをとり、比較する
パワーコンディショナを交換する際に、複数の業者から見積もりを取って比較することも費用を抑える方法の一つです。複数の見積もりを比較することで相場がわかり、適正価格で発注できるからです。
相見積もりをすることで、工事費用だけではなく、業者の信頼性などを見極めることもできるため業者選びにも役立ちます。
事業者向けの補助金・助成金を活用する
太陽光発電設備の導入に関して、国や自治体で補助金事業を用意しているケースがあります。地域によっては補助金・助成金を活用でき、パワーコンディショナの交換に関わる費用負担が軽減されます。
例えば、栃木県の「地域電源供給拠点整備促進事業」は、自立型パワーコンディショナを導入する際に利用できる補助金事業で、300万円を上限に補助金が交付されます。
日本では再生可能エネルギーで発電した電力を買い取るFIT制度(固定価格買取制度)が2012年に開始しており、この時期に太陽光発電設備を設置した事業所ではパワーコンディショナの交換時期を迎えているケースが多くなっています。
パワーコンディショナの交換に関する補助金事業が今後増える可能性もありますので、事業所のある自治体の補助金情報を確認してください。
【徹底比較】パワーコンディショナを交換するメリット・デメリット
パワーコンディショナを交換するメリットとデメリットについて紹介します。代表的なのは以下です。
メリット |
デメリット |
・発電効率が上がる |
・費用がかかる |
パワーコンディショナを交換するメリット
パワーコンディショナを交換する大きなメリットは、発電効率の向上です。
パワーコンディショナが故障や劣化すると発電効率が低下しますが、最新の機器に交換することで交換前よりも発電効率が良くなる可能性があります。そのため、電気料金の削減や売電収入の増加にも貢献します。
また、パワーコンディショナに新たなメーカー保証が付くのも大きなメリットです。
修理で対応する場合、出張費などが加算されて修理費用が割高になる可能性がある上、再度故障することも考えられます。そのため、故障を機に新品に交換した方がメリットが大きいケースもあります。
パワーコンディショナを交換するデメリット
パワーコンディショナを交換するデメリットとしては、費用負担があることです。
また、産業用の場合は、パワーコンディショナの本体価格が高額で、複数台設置しているケースもあり費用負担が大きいと想定されます。
パワーコンディショナの交換で、周辺機器との互換性が失われる可能性があることもデメリットの一つです。新たに周辺機器も交換するとなると交換費用がさらに膨らんでしまいます。
当社で人気のパワーコンディショナを紹介
リープトンエナジーが提供するパワーコンディショナ他の商品について紹介します。
製品名 |
定格出力 |
特徴 |
屋外集中型 SPSS-55E-LP |
5.5kW |
複数の太陽電池モジュールからの入力を一つに集中させるタイプ |
屋外マルチストリング型 SPSM-444B-LP |
4.4kW |
入力回路ごとに電力変換を行うタイプ |
電力検出ユニット SPW277-LP |
ー |
LAN接続により遠隔出力制御にも対応 |
カラーモニタ SPCM277-LP |
ー |
様々な項目でデータチェックができる多機能なカラーモニタ |
一括制御リモコン SPUR-1MB-LP |
ー |
最大20台のパワコンが一括制御できるリモコン |
LEAPTON 屋外集中型 SPSS-55E-LP
定格出力5.5kWのパワーコンディショナです。複数の太陽電池モジュールからの入力を1つに集中させて電力変換を行う集中型です。
最大辺が47.8センチ、重量20kgと小型で、設置場所を選ばず施工性にも優れています。停電時の自立運転・自動切り替え機能を搭載しており、BCP対策強化にも最適です。製品保証は15年です。
LEAPTON 屋外マルチストリング型 SPSM-444B-LP
入力回路ごとに電力変換を行うマルチストリング型のパワーコンディショナです。最大辺が47.8センチ、重量23kgの小型タイプで、定格出力は4.4kWです。
自立運転機能搭載で停電時も電気が使えるほか、遠隔出力制御にも対応しています。また、15年の製品保証が付帯しています。
LEAPTON 電力検出ユニット SPW277-LP(別売り)
幅12センチ、高さ27センチのコンパクトサイズな電力検出ユニットです。無線および有線LANで接続するタイプで、電力会社が行う遠隔出力抑制にも対応しています。
モニターではなく、スマートフォンやタブレットなどで発電情報が確認できるため、発電の状況などを手元で確認できるのも特徴です。CTセンサーを用いて計測するため、ZEH住宅にも対応しています。
カラーモニタ SPCM277-LP(別売り)
7インチカラー液晶のモニタです。
メイン画面のほか「データ画面」「グラフ画面」「カレンダー画面」「環境貢献画面」の各種画面の表示が可能で、様々な角度からデータチェックができます。
一括制御リモコン SPUR-1MB-LP(別売り)
1台で最大20台のパワーコンディショナと接続可能なリモコンです。表示や操作は最小限に抑えており、運転や停止の一括制御ができます。
汎用ケーブルによる接続ができるため、施工性も高いのが特徴です。
まとめ
今回は、太陽光発電設備を効率的に稼働させるのに欠かせないパワーコンディショナの交換費用に焦点を当てて紹介しました。
事業用の場合は定格出力が大きいパワーコンディショナを設置していたり、複数台設置していたりするケースも多く、交換費用が高額になると想定されます。そこで、コストダウン方法を紹介しました。ぜひ参考にしてみてください。
なお、リープトンエナジーブランドのパワーコンディショナは、小型化・軽量化により高い施工性を備え、災害時にも安心な、自立運転・自動切替機能も搭載されています。
パワーコンディショナの購入をご検討中の方は参考にしてみてください。
監修者
リープトンエナジーブログ編集部
”神戸発”太陽電池モジュールメーカー、リープトンエナジーが太陽光発電について易しく詳しく解説します。お問い合わせは、右上の「お問い合わせ」からお気軽にどうぞ。